乗り替えしやすいCMSを選択しよう

2009年10月03日 00:10

Web担当者Forum 安田編集長とのやりとり:

清水:

「最近SaaS型のCMSが増えてますね」

安田さん:

「SaaS CMSは、実はデータエクスポートが要になるような。それがないと、抜けられなくなるんですよね。」

肥大化するWebサイト

1.増え続けるコンテンツ

Webコンテンツは増え続けます。ビジネスを続ける限り、ページは追加される一方です。CMSを導入すると今までのボトルネックが解消され、さらにコンテンツ増加が加速することもあります。

一方で、古いコンテンツを廃棄・アーカイブさせるということは(実は重要ですが)、あまり行われていません。

2.CMSの乗り換えが増える

Webサイトや組織が成長すると、導入したCMSでは対応できなくなることがあります。ボリュームに対応できなくなったり、組織が大きくなったためにワークフローが複雑化したり、コンテンツが増えてサイトの構造が複雑になり、ナビゲーションを単純に自動生成できなくなる、など。

また、より優れたCMSが登場したり、ベンダーが買収されて開発やサポート力が落ちる、価格体系が変わってしまう、ということもよくあります。

つまり、CMSの新規導入だけでなく、乗り換えが今後は増えていきます。

3.コンテンツ移行がますます大変に

コンテンツが増え、CMSの乗り換えも増えていくので、コンテンツ移行もますます大変になっていきます。ウチは小さなサイトだから関係ない、と安心しているわけにはいきません。

CMSからコンテンツを取り出せるようにしておくのが重要

今後は、コンテンツをCMSから取り出せるかどうか、が重要になっていきます。実際に、それをサポートする動きがあります。

標準化の取り組み

  • 2002~2005年 JSR-170
    • Day SoftwareがJSR-170としてコンテンツリポジトリ接続APIの標準化を試みたが、賛同するベンダーが少なく頓挫
  • 2008年9月 CMIS
    • 大手ECMベンダーがCMIS(Content Management Interoperability Specification)をOASISに共同提出
  • 2009年9月 GoogleのAPI
    • oogleのCMS「Google Sites」がAPIを公開

これらは、システム間の相互接続を促進するための標準化の動きです。

一方、コンテンツそのものの持ち方や構造化の方法についても標準化をしたのが「DITA」というOASIS標準です。IBMにおける大量の技術文書を構造化する取り組みがベースになっていて、どのような粒度でコンテンツをどう構造化し、XMLで記述すべきかを体系化した国際標準として注目が集まっています。

明確にすべきチェックリスト

CMS製品を選定する場合は、将来にそのCMSを使わなくなる場合に必ず発生する「投入したコンテンツを取り出す方法」について、あらかじめ確認しておく必要があります。

  • コンテンツ入出力のAPIは提供されているか?
  • CMISに対応する予定はあるか?
  • SharePointや他社CMSとのコネクタは提供されているか?
  • コンテンツのメタデータも取り出せるか?
  • APIが無い場合は、データベース仕様などCMSがシステム内部でコンテンツを保管する方法を開示できるか?

上記がすべてNGの場合でも、通常はHTMLとして出力するテンプレートを書き換えて、コンテンツの構造を保ったままXMLとして出力するテンプレートを作成できれば、生成されるコンテンツ毎のXMLをクロールして分解し、インポートする、というプログラムを書いて半自動化することもできそうです。