DESIGN IT!もCMS+IA

2009年08月19日 19:55

いつも時代を先取りするDESIGN IT! Forumの今回のテーマは
企業情報の構造改革:DITA-XML-CMSによるコンテンツマネジメント戦略
イキナリDITAです。。先取りし過ぎていて心配なので、背景についてフォローしておきます。

【CMSに活路を見出したIA達】

筆者は、2000年からUSのWebコンサルティング会社(Scient, Sapient, Razorfish)で情報アーキテクト(IA)として、ユーザビリティやユーザーエクスペリエンス、IAなどの概念や方法論を日本で実践しつつ啓蒙する活動をしていました。当時のIAコミュニティで盛んに議論されていたトピックの一つに、CMSとタクソノミーがあります。当時はUSでCMSの普及が進みつつあり、先進的な企業はすでに導入を終えている状態でした。残った企業へ、CMSベンダーやコンサルタントが我先に、と提案と導入を行っていました。
ユーザビリティやUIデザインよりもライブラリアン志向が強かったロゼンフェルド派のIA達は、このトレンドに乗って、コンテンツ管理のスキルを未につけていったわけです。

  • どのCMS製品が良いのか?
  • ツールはどう選ぶべきか?
  • 過去コンテンツ移行のコツは?
  • タクソノミーの定義方法は?

などがIAコミュニティの間で議論され、ノウハウが蓄積されていきました。
その間もIAのコモディティ化が進み、「IAはもう死んだ」「ユーザビリティを本気で考えて成功したサイトはあるのか?」といった自己の存在意義を見つめなおすムーブメントも起こりました。その中で、コンテンツ管理はIAやWebコンサルタントとしての新たな飯の種になったのです。

#USを見ると、日本のネット業界の将来が見えます。
#このギャップを埋めるだけでも、ある程度の価値を出すことができます。

【コンテンツ管理はプロセス改善(BPR)である】

CMS導入を進めていくと、多くの場合組織や人がボトルネックであることが分かります。良いシステムを導入しても、コンテンツを作り、活用する人や組織のスキルや体制が伴わなければ、成功しないどころか逆効果になることもあります。このため、ITシステムの導入プロジェクトとしてではなく、組織や業務プロセスの改善、として捉え、推進する必要があります。
ユーザー中心主義に基づき、ビジネス・技術・ユーザーのニーズや都合のバランスをとることが得意なIAは、ここで力を発揮することができます。使いやすく心地よい社内システムのUIを設計・実装し、効果的に社内啓蒙やトレーニングを実施すれば、概念やノウハウを現場にスムーズに浸透させることも可能になります。

【テクニカルコミュニケーション業界は先輩】

コンテンツの管理に関しては、テクニカルコミュニケーション(マニュアル)業界は長い歴史を持つ先輩といえます。薬品、自動車、航空機などの技術仕様書、取り扱い説明書、社内ガイドラインなどの膨大なドキュメントは失うことのできない重要な資産であり、多くの時間とコストが投入されてきました。HTMLやXMLの前進であるSGMLは印刷物を想定したコンテンツ構造化の技術です。印刷会社でも研究や実践が進んでいて、自動組版という紙用のCMSのようなシステムも既に導入が進んでいます。画像や素材を一元管理しておき、マニュアルやPDF、Webサイト用にマルチユースしている企業も存在します。

【今回の講演にあたって】

このようなコンテクストにおいて、今回は、

  • IAからCMS、というトレンドの実践者
  • CMSからコンテンツ管理、というトレンドの実践者
  • グローバルなECMプロジェクトの日本側リーダー経験者

という立場で、

  • 企業情報を活用するために、何ができて何ができなかったのか?
  • CMS元年の次に来るトレンドとは?
  • デフレが続くWeb業界の進むべき道とは?

について、
製品ベンダーでもコンサルタントでもない、企業における実践者の立場でお話します。

Web制作業界の将来が不安な方、労働集約的な現状を脱して高いビジネス価値を出したいWeb担当者の方、CMSをもっと活用したい方は、ぜひご参加ください。