本命iTunes Match先取りレポート
iTunes Matchは2011年11月のサービス開始時から米国で使っています。2年間、実際に利用してみて分かったことをまとめておきます。
iTunes in the Cloudよりも進化したiTunes Match
2012年2月から日本でも使えるようになったiTunes in the Cloud。
iCloudを使えば、iTunesで購入した音楽が、あなたが使っているすべてのデバイスに自動的に現れます。以前iTunesで購入したアイテムもダウンロードできます。
好きな曲を、好きな時に、好きな場所で、ご自由に。
と地味で中途半端ですが、これはiCloudのオマケ、来るべきiTunes Matchのプレビューみたいなもの。iTunes Matchの仕組みを作ったらついでに可能になっただけ(多分)で、これが最終形ではない。
一方、本命であるiTunes Matchでは、ついにiTunes以外で購入した曲もクラウド管理できるようになります。手元にある曲データをクラウド上のデータとマッチングし、一致した曲はiTunesで購入したのと同じような状態になります。マッチングできなかった場合でも、ファイルごとクラウドへアップロードされるので、(ほぼ)ライブラリ全体をクラウド管理に移行できます。
ついに音楽ライブラリのクラウド化が実現
パーソナルなミュージックはすべてクラウド上で管理する。これはほとんど理想系であり、一度体験するとやめられなくなります。iPhoneでも、iPadでも、WindowsでもMacでも、大量のライブラリにアクセスできるのです。
Dropboxとどう違うのか?
DropboxやSugarSynchなどのファイル共有やバックアップ系サービスでもクラウド化できそうですが、音楽ライブラリの場合はファイルサイズが大きいので、同期に時間がかかり過ぎる、スマホなどのモバイル系端末ではディスク容量が足りなくなる、という点がイマイチ。
iTunes Matchの場合、追加したデバイスには曲データ自体がダウンロードされず、プレイリストだけが同期されます。曲をクリックすると(少し時間差はありますが)オンデマンドで再生されるので、ディスク容量を気にしないで全曲から再生する曲を選べます。大量のデータを事前にダウンロードしておく必要はありません。
ただし、オフラインでも聞きたければ、選択的に事前ダウンロードもできます。ハードディスクに余裕がないiPhoneやiPadではよく聴く曲だけダウンロードしておくと便利です。
さらに、昔の低品質mp3がDRMフリーの256kbps AAC形式にアップグレードされるといううれしいオマケつき(人によってはこのメリットの方がうれしいかも?実際に古いmp3を最新化してみたレポートはこちら)。
日本では2012年の後半から?
iTunes Matchは2012年後半には日本でも利用できるようになるとアップルの人はインタビューで応えていましたが、2014年5月になってようやくサービス開始されました。
- 米Apple担当者に聞く「日本での音楽ビジネス強化」 -AV Watch
私は幸い2011年11月のサービス開始時から米国で使えています。2年間、実際に利用してみて分かったことをまとめておきます。
iTunes Matchを使って分かった詳細
初回のマッチング
初回はMacかPCにインストールされたiTunesを使って、マッチング(ライブラリの同期)を行います。
- 曲名やアーティスト名などのタグ情報は不正確でもマッチできる(アテにならないので最初から無視し、音の指紋のみで照合?)
- 200MBよりも大きい曲、96kbps以下の曲はマッチング対象にならない(低ビットレートは購入していない可能性が高いため?)
- USで売っていない日本の曲も一部はマッチする(権利交渉しつつ随時追加していて、楽曲データは全世界共通?)
- iTunesで購入していない曲が25,000以上ライブラリに登録されていると、そもそもiTunes MatchをOnにできない(利益率の問題?)
マッチングできた曲は、
- 曲名やアーティスト名などのメタ情報のみがアップロードされる(ので速い)
- 曲データ自体は再生時にサーバー側から一方的に配信される(無料で購入できるようになるイメージ)
- その結果、音データはiTunes標準であるDRMフリーの256kbps AAC形式になる
マッチングできなかった曲は、
- ファイルごとクラウドにアップロードされる(ので時間がかかる)
- ただしDRM保護やファイル破損などでアップロードできない曲もある
他のデバイスでiTunes MatchをONにすると
- クラウド上の自分の曲(マッチした曲&アップロードされた曲&過去にiTunesで購入した曲)がライブラリに表示される
- この時点では音データそのものはダウンロードされない
- 曲/アルバム/アーティストの単位で選択的にダウンロードできる
- マッチングできた曲と過去に購入した曲はDRMフリーの256-kbps AACでダウンロードされる(メタ情報はマッチング時のが残る)
- Mac, PC, Apple TVではストリーミング再生、iOS 5以前のみダウンロードしながら再生される(再生後にファイルが残る点が異なる)
- 一つのApple IDで同期できるデバイスは10台まで
このように、音楽に特化したクラウドサービスです。iTunes Matchを購読している期間は、ローカルにある曲のうちマッチした分はiTunesで購入したのと同じ扱いになる、というようなイメージです。
利用時のTips
- ライブラリの曲数が25,000を超えていてiTunes MatchをOnにできない場合は、iTunes上で曲を減らしたライブラリを別途作ると良い
- USアカウントで契約すれば、日本でも使える(アップロードもダウンロードも)
- ただしUS発行のクレジットカードまたはデビットカードが必要(iTunesカードはNG。ドラッグストアやスーパーで売っているVISAやAmexの無審査プリペイドカードならOk)
- iTunesのライブラリ一覧でiCloud Status(Statusの意味)とiCloud Downloadの項目を追加すると、状況が分かりやすくて安心
- ビットレートの低い曲を抽出するスマートプレイリストを作成し、ライブラリから削除(ファイルは残しておく)してからダウンロードすると256kbpsのAACにアップグレードできる(具体的な方法はこちら)
- 追加したデバイスはiTunesのアカウント設定で解除できる
- iTunes以外で曲を入手したら、PCかMacのiTunesに認識させないと追加マッチングされない
注意点/バグ
- 3G接続中のiPhoneやiPadでは、曲の再生がもっさりする(ダウンロードしながら再生するため)
- スマートプレイリストが他のデバイスに同期されないことがある
- アルバムジャケットが他のデバイスで表示されないことがある
- 同じアルバムの中でも、マッチする曲としない曲が混在することがある
参考
- iTunes Match: your questions answered
- iTunes Match Has Us on Cloud Nine
- iTunes Matchで古いMP3を最新AACに品質アップさせる方法