スクロール量を計測し埋もれたエリアを活用する
Omniture Summit 2010で披露されたスクロール計測のプラグインが、公式ブログで公開されています。
その後、元Omniture社員のAdam Greco氏が改造版を公開しています。こちらの方がニーズに合ったので、そのまま導入しました。
分かるようになるのは以下の3つ
- スクロールしない状態でどこまで見えていたか
- スクロールした量
- 結果的にどこまで表示させたか
図:スクロール関連の指標:
オリジナルのプラグインは3のみに対応していました。改造版は2と3を結合して一つの変数に格納します。3から2を引けば1になるので、計算結果のTSVファイルを作成&アップロードすれば、1から3まで全てのレポートが完成します。
ページとこれらをクロス集計する
と、大きなヒントが得られます。
「ページを開いてから次のページへ移動するまでの時間」
という意味の滞在時間よりも、
「能動的に意思を持ったスクロールという行為」の方が、
Engagementを表す指標として優れています。
Jakob Nielsen氏のAlertboxの記事「Scrolling and Attention」も参考になりました。
記事の趣旨とはズレますが、読みながら考えたのは
- above fold(ファーストビュー)の概念は変わってきている。
- 昔よりはスクロールされるようになってきた。
- ページを分割するよりも長いページにした方がユーザビリティが高い。
- フッタ付近は以外と視線が集まることがある
エリアを公平に評価したい
ファーストビューも重要ですが、その面積は限られています。
サイトを運用する側としては、スクロールの行動をアクセス解析する ことによって、アイトラッキングやユーザビリティテストのような重い手法を使わずに定常的かつ定量的にファーストビュー以外のエリア効果を評価できるようにしたいところです。
例えば、リンクのCTRは、クリック数をそのリンクが掲載されたページの閲覧数で単純に割るのが普通ですが、それだとページ下部に掲載されたリンクが過少評価されてしまう。20%しかスクロールされなかった位置に掲載されたリンクのCTRは、CTRを5倍にしても良い。
リンクの効果にはコンテクスト(周りのコンテンツとの相対関係や順番)も影響するので、上に置けば良いというわけではありません。前述の Alertboxの記事で、ページの途中でも視線が集まることがある、と紹介されています。ページ下部でもハンデを受けずに適切に効果測定できるようになれば、サイト内に大量の掲載エリアを手に入れたようなものです。しかもコントロールしやすく、最適化もできる。
今から楽天のサイトで改善事例を作って、5月の講演(アクセス解析サミット2010とOmnitureイノベーションフォーラム)で発表したいと思っています。